仙台 |「アリティーヴィー」代表取締役社長・佐藤貴之さんインタビュー(後編)東北の魅力を仙台から世界へ発信!

    (C)シュープレス

    仙台のインターネットテレビ局「アリティーヴィー」。東北にまつわるさまざまな動画を多言語で制作し、世界に配信している代表取締役社長・佐藤貴之さんのインタビュー後編をお届けします。

    ~佐藤さんのご経歴や会社設立当初について語った前編はこちらから!~

    仙台在住の留学生たちとの出会い

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    東日本大震災を機に、東北に訪れる人を増やしたいと考えた佐藤さんは、誘客プロモーションに力を注ぎ始めます。そのなかの番組制作で出会ったのが、仙台に住む留学生たち。

    「震災後も仙台に住み生活している留学生の紹介番組をつくっていたときの取材で、彼らが“私たちも仙台市民だから”と話していたんです。同じ土地に住み同じ震災を経験したのに、僕は無意識にお客様扱いしていたんじゃないかな?ってその言葉で気付きました。また震災当時、僕らと同じくこれからの生活に不安を抱えていたのに、日本語以外の情報が少なく困っていたと聞いて、“多種多様な人がいるのだから日本語だけではだめだ、多言語で発信しなくちゃ!”と改めて思いました。また、彼らに向けての情報以外に、国にいる家族や友人たちにも“仙台は大丈夫!僕たちは元気だよ!”というのを伝える必要性も感じましたね」

    その後、アリティーヴィーでは、英語や中国語、韓国語、タイ語などの多言語番組を配信。現在も外国人スタッフが社員、アルバイト含め15人ほど在籍し、制作に携わっています。

    他国の文化を知り、グローバルに事業を展開

    (C)アリティーヴィー

    東北を外国人にとって住みやすい・訪れやすい場所にするために、環境整備活動もしているアリティーヴィー。ムスリムのスタッフとともに、礼拝スペース設置を仙台空港に提案したり、ハラル対応メニューの検討をレストランにお願いしたりしました。

    「東北の名物をハラル対応にしようという番組企画では、盛岡にあるわんこそば店に取材に行きました。食材や調味料をハラル対応にしてもらえば、ムスリムの人たちでも安心してご当地グルメが楽しめますよね。そういったムスリム情報に特化したインターネットテレビ局「ジャパンハラールティーヴィー」も立ち上げました」

    2018年11月にはインドネシア・スラウェシ島地震チャリティーイベント「仙台インドネシアフェスティバル-FESTINA-」を楽天生命パーク宮城で開催。約1500人を集客し、集めた収益金を被災地に寄付しました。

    「スタッフの国で事件や災害が起きると、すごく心配になるし力になりたい。世界で起こっていることが身近に感じるようになりました。仙台インドネシアフェスティバルもそのひとつ。集めた収益金をどの被災地に寄付するか決めるため実際現地に足を運んで話をし、崩壊した高校の再建資金に使ってもらうことにしました。そこからのつながりで、今インドネシアとのビジネスもスタートしたりと、予期せぬ展開で事業がグローバル化しています」

    視点を日本国内だけではなく世界に向けることで、アリティーヴィーの活躍の場が年々広がっています。

    隣の人を笑顔にしたい!新たなチャレンジ

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    SNSが老若男女問わず広く浸透し、個人が情報を発信するマンメディアの時代。佐藤さんは、これからのアリティーヴィーについて考えます。

    「番組制作において、クオリティを問われる部分と問われない部分のバランスが重要かなと思います。一般の人のSNS投稿はネタがおもしろかったり信頼できたりすれば、たくさんの人の目に触れるし、大手メディアが予算をかけてつくった番組よりも支持されたりしますよね。アリティーヴィーの規模だからこそ、そのあたりのバランスを考えて制作していきたいです。先日、講演会で学生から“アリティーヴィーの戦略は何ですか?”と質問され、ありませんって答えました(笑)。戦略という大げさなことはなく、隣にいる家族や友人が幸せに笑ってくれるようなことをして、それが結果、ビジネスに派生すればと思っているんです。これまでもそうだったし、これからもそうありたい」

    会社設立10周年を迎える2020年春に、佐藤さんはカフェのオープンを計画しています。留学生たちとつながって彼らの文化や悩みなどを知っていくうちに、サロン的な役割を持つスペースがあるといいなと考えたそう。困ったときやうれしいとき、カフェに来れば誰かと想いを共有できる…これも、隣にいる人を笑顔にさせる一環なのかもしれません。

    “世界中の人々が笑顔で暮らせる世界平和”という大きな夢を持つ佐藤さん。幸せの輪を、家族や友人、仙台、東北そして世界に広げるために、これからもアリティーヴィーは前進します。

    佐藤貴之(さとうたかゆき)さん
    1972年宮城県仙台市生まれ。仙台商業高等学校(現仙台市立仙台商業高等学校)を卒業後に東京の専門学校に入学し、映像制作を学ぶ。アルバイトで経験を積んだ後、仙台の映像制作会社に入社。ディレクターとしてさまざまな番組に携わる。2010年に独立し、インターネットテレビ局「アリティーヴィー」を設立。現在、「アリティーヴィー」の代表取締役社長として、多言語で東北の情報番組を配信するほか、映画制作やインバウンド関連の事業なども手掛けている。

    2020年1月時点での情報です。

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