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2019年3月10日、宮城県気仙沼市にオープンした「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」。建物は、東日本大震災の津波により浸水した気仙沼向洋高校の旧校舎と、その隣に建設した伝承館の2つ。当時の姿をそのまま残す校舎の見学と、津波の映像や資料展示などを通し、震災の記憶と教訓を伝えています。
三陸自動車道大谷海岸ICから車で10分ほど。東日本大震災で甚大な被害を受けた気仙沼市階上地区に、「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」はあります。震災遺構である気仙沼向洋高校の旧校舎と、隣接する伝承館の2つからなるこちらの施設は、震災の記憶と教訓を後世に伝える場所として誕生しました。
新設した伝承館には、実際の津波映像を流すシアターや、気仙沼の被災状況や救助・捜索、避難所生活の様子を記録した写真パネルが並ぶ展示室などがあります。
伝承館を見学したあとは、気仙沼向洋高校の旧校舎へと移動します。震災発生時、校舎は津波によって最上階の4階まで浸水。「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」のオープンにあたって設けた見学ルートや、体の不自由な方向けに設置したエレベーター以外は、ほぼ当時のままとなっています。
跡形もなく崩れた壁、教室に流れ込んだ車など、被災時の姿を残す校舎の光景は、震災の恐ろしさを物語るに十分すぎるほど。想像をはるかに超える津波の威力を身をもって感じられます。
内部を見学できるのは、南校舎の1・3階と4階の一部、屋上、北校舎の一部のみ。総合実習棟、生徒会館、屋内運動場は外部のみ公開しています。
「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」の周辺は災害危険区域に指定されているため、かつてそこにあった街は更地となっています。その場に立ち、周囲を見渡すだけでも、いかに甚大な災害だったかということを実感します。
東日本大震災から10年となる今、災害の脅威と命のたいせつさについて、あらためて考えてみませんか。
2021年3月時点での情報です。