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松島湾に松の木がこんもりと茂る島々が、ぽつぽつと浮かぶ。古来より旅人を魅了し続けている松島の穏やかな風景です。「松島の月先(まづ)心にかかりて…」と、俳諧紀行『奥の細道』の旅に出た松尾芭蕉も、松島の風景に憧れたひとりです。
風景に加え、松島の魅力のひとつが、伊達家の歴史を物語る名刹や建造物。今回は、2018年に平成の大修理を終えたばかりの「瑞巌寺」をご紹介します。
JR松島海岸駅から徒歩10分のところに、瑞巌寺はあります。訪れたのは4月初旬、伊達政宗が朝鮮より持ちかえり、手植えしたという本堂前の「臥龍梅(がりゅうばい)」が5分咲きで迎えてくれました。
瑞巌寺は天長5(828)年に慈覚大師によって開山され、慶長14(1609)年に伊達政宗が再興した奥州随一の古刹です。上方の桃山文化の粋と政宗の美意識が融合し、5年の歳月をかけて現在の大伽藍が完成。そして2018年6月には10年に及ぶ「平成の大修理」が完了、当時の絢爛豪華な輝きがよみがえりました。
国宝に指定されている庫裡(台所)の建物を外側から眺めながら、本堂へ。堂内では10室が公開され、各室の襖絵や天井の造りなど趣はそれぞれ違います。なかでも法要などが営まれる「室中孔雀の間」は必見。松に孔雀が描かれたきらびやかな襖絵に圧倒されます。
正面の仏間には、ご本尊の聖観世音菩薩立像と政宗、息子の忠宗の位牌が安置されています。藩主御成の間である「上段の間」は書院造で、長谷川等胤が描いた襖絵も見事です。
仙台から松島まではJR仙石線で約40分。今度の休日、よみがえった国宝・瑞巌寺を訪ね、桃山文化に触れてみませんか?
2019年4月時点での情報です。