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「ハチ」といったら、宮城ではハンバーグで有名ですが、こちら「ハチ花乃」は、れっきとした中華そば専門店です。となると洋食店がつくる本格ラーメンですから、トマトやデミソースが中華そばに絡まっていそうですが、そういうことはまったくなく、いたってシンプルな鶏スープに極細麺を組み合わせています。なんだったらレモンをのせてすっきり爽やか仕上げな一杯も。「う~む、できるな」という印象です。
白い暖簾をくぐると、目の前に小さな食券機があり、そこで目当てのメニューを購入します。とはいえ基本は「鶏塩中華」700円。あとは梅、レモン、肉といったトッピングを追加するかどうかのセレクト。夏期は9月まで「冷やしラーメン」があり、秋から冬にかけては濃厚な鶏白湯メニューも登場予定。「濃厚味はいろいろ試作中ですが、ほぼ完成しています」と目を細めながら自信満々に話すのは店長の土田雄平さん。
澄んだスープ、というか澄み切っていて食べ終わっていないのに丼の底が見えてしまいそう。このスープは、2019年6月「ハチ花乃」が水炊き専門店としてオープンしたことにルーツがあります。水炊きの〆といえば、ご飯やうどんが定番ですが、「ハチ花乃」では中華の極細麺で提供していました。これが評判になったことから、紆余曲折の後、2019年12月に水炊きスープをブラッシュアップした中華そばの専門店としてリニューアル。手羽先、手羽元を数時間煮込み、昆布出汁を加えた極上の鶏スープは、中華そば用としてさらに完成度を高め、あっさりとしていながらも鶏独特のコク旨な一杯に仕上げられたのでした。
だいたいレモン1個分というところでしょうか。レモンの酸味って塩味に合う。さらには鶏の旨味とも合う。あっさり系ラーメンに「酸味」というパンチが加わり、期待以上の飛躍を遂げています。レモン、いい仕事してますなあ。ちなみに店長の土田さんは、秋保にあるハチ系列のレストランで、今夏「レモンかき氷」を大ヒットさせています。「ハチ花乃」のレモン中華の人気に気を良くし、秋保でも同じレモンで勝負に出たのは疑いようもありません。なかなかの戦略家なのです、土田店長は。
一歩一歩、着実にラーメン店として進化し続けている「ハチ花乃」。今秋に登場予定の濃厚鶏白湯も楽しみですな。そして、ラーメンと共に、サブメニューで人気を集めている「むすび丸おにぎり」も忘れてはいけません。いや、もう食べられないくらいかわいいですよ、このおにぎり。食べますけど。つくるのに地味に時間がかかるため、量産はできず、売り切れ必至のメニューです。ラーメンのお供にもいいですよ。
2020年9月時点での情報です。