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「らーめん よっちゃん(仮)」……(仮)ってなによ、とついその店名にツッコミたくなるこの店は、ひょうひょうとした主人の高石善仁さんがほぼ1人で営む、鶏白湯が人気のラーメン店。ただ、最近はコクのある醤油で太麺を味わう「超強淡麗」も評判です。醤油とショウガってなんでこんなに合うんでしょうか。
東北大学病院前の県道31号を西へ向かっていくと、左側に見えてくる「らーめん よっちゃん(仮)」。2014年のオープン前、「店名なんて何でもいいよ」という風にして店を準備。それでもラーメン店を開くのだから店名は必要だし、看板をつくる段になって「なんて書きます?」と聞かれたりもします。「だったら自分の名前で、よっちゃんでいいか。あ、でもとりあえずの店名だから(仮)って入れておいてね」と。1年経ち、2年経ち、(仮)が定着してしまい、今となっては(仮)をはずしにくい状況に。そんなユニークな店主がつくるラーメンには、とことん個性とおいしさが詰まっています。
「今日は鶏白湯が食べたいな」そう思ったときには、あのトロッとした白湯特有のスープに麺を絡め「ズズッ」とすする絵がすでに頭の中にできあがっています。で、急ぎ足で「らーめん よっちゃん(仮)」へ行くわけです。5時間ほどガッツリと炊いたスープを、じっくり冷ます過程でもかく拌を繰り返し、なめらかで旨みあふれるスープへと昇華させていきます。ドロッと濃厚なスープが、細麺にこれでもかっていうくらい絡みつきます。濃厚で味のインパクトが強いにも関わらず、しつこさは微塵もありません。スルスルっと最後までおいしく味わえるのも「らーめん よっちゃん(仮)」の鶏白湯の特徴。これはもうクセになりますね。
超強い淡麗ってどんなラーメン? 店主に聞くと「ひと言でいえば、濃厚だけどすっきりした醤油ラーメン」。濃厚醤油というと和歌山ラーメンや横浜家系などやや濁ったスープを想像しますが、出てきたラーメンは澄んだ琥珀色でした。中央にはチャーシューの上に大盛りショウガ。で、太麺と……いや極太麺ですね、番手10くらいの。スープをすすると、これはこれは醤油の純度の高い、たしかに濃厚なスープです。ただ、濃厚というより旨味のあるコクが勝り、ゴクゴクと飲みたいくらいにうまい。そこへショウガを溶くと、少々ソリッドなラーメンになり、なるほど淡麗です。まさに超強い淡麗。鶏白湯にものっていた岩海苔がこちらにものっていますが、この岩海苔、とても風味がよくラーメンに合いますね。
仙台の人気家系ラーメン店で働いていた高石さんが一念発起して開いたラーメン専門店。名物の鶏白湯のほか、超強淡麗、油そば、まぜそばなどいずれもちょっとしたユニークさが漂う。夏期限定の「マリンブルーの風に抱かれて」は、その青いスープが毎年話題となり、もはや仙台夏の風物詩のひとつに数えられているとかいないとか。今後も通うのが楽しみなラーメン店です。
2020年8月時点での情報です。