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宮城県は全国屈指の“せり”の産地。そのせりをいちばんおいしく食べられる料理が「せり鍋」といわれ、仙台では今や冬の風物詩として定着している。せりの茎・葉・根を、地鶏や鴨だしのスープにさっとくぐらせ、シャキシャキの食感を楽しむのが本場の味わい方。この冬、ぜひ仙台でせりのおいしさを堪能しよう。
仙台のお隣・名取市のせり農家から毎日仕入れるせりは、その日の午前中に摘んだもの。仕込みはいたってシンプルだ。まずは冷たい水でジャブジャブと洗い、さらに1本1本ていねいに歯ブラシで泥をこそぎ落とす。根も食べるのがせり鍋の醍醐味だが、まさか客に泥が付いた根を食べさせるわけにはいかない。冬、「わのしょく二階」の店主・中森さんの開店前の日課は、その日使う分の大量のせりの泥を落とすことだ。
きれいに洗ったせりに合わせるのは、蔵王産の鴨の旨みがあふれる黄金色のスープ。鮮烈な香りのせりと、濃厚な鴨スープの滋味が鍋いっぱいに広がる。ちなみに、せりは県内一の品質と人気を誇る、名取市の三浦隆弘さんが生産する無農薬のせり。葉は3秒、茎は10秒ほどスープをくぐらせ、香りと食感と旨みの妙を味わいたい。
冬の仙台名物となった感がある「せり鍋」は、例年10月から4月あたりまで味わえる。寒くなればなるほどおいしくなるといわれる宮城のせりは、これからが最盛期だ。
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2019年11月時点での情報です。