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「仙台にピッツァの名店あり」と県内外に評判の店。2012年にナポリピッツァの世界大会で第3位になった千葉壮彦氏が作るピッツァとは?期待に胸を躍らせながらかぶりついた一枚に、俺はたちまち虜になってしまった。ピッツァにうるさい人もうるさくない人も、とにかく食べてみるべし。その特別なピッツァの旨さの秘密に迫る。
千葉氏が勝山館の「ピッツェリア・パドリーノ・デル・ショーザン」から独立して、「イル・ピッツァイオーロ」をオープンしたのは、2015年のこと。店名はイタリア語でピッツァ職人を意味する。
モノトーンを基調にした店内は、鉄板が打ち込まれた木のフロアや、剥き出しのパイプや梁が、飾り気のない一途な職人のイメージにぴったりだ。真鍮や鉄板で表面をモザイク状にした窯も男っぱい仕上がり。見た目だけでなく、イタリア製の窯は底の素材が特別で、温度がしっかり上がるスグレモノ。薪は硬くて燃え尽きにくいナラ材を使い、火力が安定し長時間高温が保てるので、表面はカリッと、中はもちもちの理想的なピッツァが焼き上がる。
厨房にはガスコンロやフライヤーがなく、ピッツァに限らず他の料理もすべてこの窯で調理する。ふっくら香ばしいチキンも、窯焼きならではのジューシーな味わいでおすすめだ。
こんがりした焦げ目とぷっくり膨らんだフチが、本格的なナポリピッツァの証。軽くてさっくり仕上がった生地は、生地そのものが旨くて、いくら食べても食べ飽きない。
そのこだわりの生地は、通常より半日余計に時間をかけることがポイント。小麦の甘みが出てより味わい深くなるのだという。使っている粉は、ナポリ産ボルセッリのパン用とピザ用小麦粉。当然ながら粉だけ聞いても余人には再現不可能、だから企業秘密にしなくてもよいのだ。
人気No.1の「マルゲリータDOC」は、生地を延ばしてトマトソースを塗り、6種類ものフルーツトマトを乗せ、トラバニの塩を振ってバジルとモッツァレラチーズをトッピング。
そして、ここからの焼きのテクニックがとにかくすごいのだ。ピールと呼ばれるピザ用のスコップを、窯から出し入れしてはくるくると回す。場所を変えながらベストな焼き上がりを目指す、鮮やかなパフォーマンスに釘付けだ。
旨いものには旨いなりの理由がある。本格派のナポリピッツァが味わえるイル・ピッツァイオーロ。小さな店には細部にいたるまで、こだわりが詰まっている。テイクアウトもOKなので、足を運んで絶品ピッツァをお楽しみあれ。
2018年5月時点での情報です。