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福島県会津地方は古くから馬肉がよく食べられている地域である。戊辰戦争の頃にはすでにさくら鍋(らしきもの)を食べていたようで、その歴史が今に脈々と受け継がれているのだ。
とはいえ、馬刺しを食べるようになったのは、もっと後のことである。昭和30年頃、会津若松にプロレス興業に訪れた力道山が、市内の精肉店に行き、店先にて、持参したタレを使い生で食べたのが始まりといわれる。以来、少しずつ馬刺しが食べられるようになっていった。
会津坂下町の国道49号沿いに建つ大きな御殿風の建物。これが堀商店である。会津の鮮度のよい馬肉をリーズナブルに味わえる、馬肉ファンにはたまらない名店。精肉店と食堂、さらには民宿を営むマルチぶりであるが、とりあえずは食堂部門へ行く。馬刺しのほか、焼肉、ステーキ、鍋と馬肉料理がひと通りそろう。堀商店の馬刺しは、にんにくの効いた辛味噌のうまさもあって、白いご飯との相性がとことんよいのも、男性客には喜ばれている。
さて、堀商店名物の「煮込み」は、ひと通り注文を終えてメニューの到着を待っている時「お通し」のように静かにやって来る。ただしこれはお通しではなく、無料サービスの品。馬のさまざまな部位をじっくりと煮込んでいて、過去に味わったことのない驚きのうまみにあふれている。
ちなみにステーキは極上のヒレ肉を使っていて、ねっとりとした馬肉特有のやわらかさとうまみが堪能できる。また馬刺しには、モモとロースの2種類があり、歯応えのしっかりしているのがモモ、やわらかく食べやすいのがロース。どちらもうまいので、これは好みで選択すべし。煮込み、さらには馬刺しも食べたいとなると、食べ方としては、ステーキ定食を注文し、馬刺しを単品で注文、というのが無難な選択肢である。
馬肉は高タンパク、低カロリーで、鉄分やビタミンが豊富、肝機能を向上させ疲労回復にもよいとされる食材。おいしいだけでなく、お疲れ気味の諸兄にもおすすめのメニューである。
※2017年4月時点での情報です。