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「秋田にすっごいうまいラーメン屋がある」。
そんなことを知人から聞き、以前から気になっていた「支那そば伊藤」をたずねた。
ご主人の伊藤さんは、十文字ラーメンの人気店「三角そばや」で約10年修行したのち、「自分のラーメンを作りたい」と2007年に独立した。
しかし、県南エリアでネームバリューのある十文字ラーメンも、秋田市では知名度が低い。開業当初は厳しい状態が続いた。
それでも従来の十文字ラーメンをブラッシュアップさせた「自分のラーメン」へのこだわりは捨てなかった。かんすいを使わずに天然塩を練り込んだ特注麺、焼干し、煮干し、カツオ節の魚介ダシだけでていねいに作ったスープ、毎日の仕込みに妥協はなかった。
時が経つにつれ、口コミで評判は広まり次第に客足も伸びていった。夏に出した「そのまんま冷やし」というシンプルな冷やしラーメンも、店を知ってもらうよいきっかけになったという。
さて、食べたくて食べたくて夢にまで見た伊藤の「中華そば」。
やや灰色がかった独特な色の極細特注麺をひと口すすれば、そのポテンシャルの高さがいやおうなく口中に伝わってくる。麺は食感が軽くスープとの絡みが抜群で、魚介ダシの旨みを存分に味わいながら食べ続けられる。
その旨みは、最初のひと口から最後まで変わることはなく、食べ終わった瞬間に「もう一杯食べたい……」と思わずにはいられない。麺とスープがとてつもなく高いレベルで競い合いつつも、時々、手を取り合うととんでもない味が実現する、そんな驚きの中華そばと言っては言いすぎだろうか。
秋田の至高の中華そば、次回は大盛でそのうまさをより長く堪能したいものである。
※2013年7月時点での情報です。