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餃子というと、家庭でもそれなりにおいしくつくれてしまうせいか、店で食べても印象に残っていないことが時々ある。そこには「マズイわけじゃないけど、まあこんなもんでしょ」的な諦観がそこはかとなく漂っているのかもしれない。
さて、日々そんな経験をしている紳士淑女のみなさんに、ぜひ食べていただきたいのが福島市にある「中国料理 王芳」の餃子だ。市井に存在する餃子という餃子を食べ歩いた私であるが、王芳以上の感動を与えてくれた店には、いまだ出会ったことがない。
なぜこの店の餃子がそんなにもうまいのか。王芳ファンの間ではもはや常識であるが、皮が圧倒的にほかとは違うのである。
熟成された自家製皮は、やや厚めでしっかりとした弾力。そのもちもちの皮が、懐の深いゴールキーパーのごとく「どんな球もゴールラインを割らせないぜ」と言わんばかりの気迫で具をしっかりと包み込み、豚肉やニラ、白菜など具から出る旨みたっぷりの汁を漏らさない。
口に運ぶと、焼きが入りカリっと仕上がった表面、その後に来るもっち~りとした皮の感触、そして最後にあふれ出すジューシーな肉汁、餃子の至福ここに極まれりといった感じだ。
「中国料理 王芳」のすごさは焼餃子だけではない。皮のツルツルとした舌触りが心地いい水餃子、香ばしく揚げられた揚餃子、ふわふわ加減がたまらない蒸餃子と、焼餃子を含め4種の餃子の食べ比べも楽しめてしまうのだ。
そんなには食べられない?たしかに1人では厳しいかもしれない。が、2人で行けば余裕で4種餃子パラダイスは可能である。それぞれの餃子の個数は多くないし、なにより全ての餃子が“究極”のおいしさ。
せっかく行ったのに、食べずして帰ることなどできるだろうか。それこそ一生の後悔となってしまう。
蛇足ながら、王芳の餃子にはしっかりと味が付いているので、最初はタレなしで食べるのが王芳流であることを心に留めて来店されたし。
※2012年6月時点での情報です。