仙台の編集プロダクション・シュープレスがお届けするWebマガジン
ラーメンといえば、したたる汗をものともせずに麺をすすりスープをすする、そんなイメージが強い。俺の中では未だに、「店は油煙で煤けているほどウマイ」という妙な思い込みも根強く残る。
しかし、あらゆる意味で、ラーメンの世界に新たな境地を開いた店がある。
楽天ゴールデンイーグルスの本拠地としてにぎわう仙台駅東口にある「くろく」がそこ。シックな外観も、ライトダウンした店内も、およそ脂ぎったラーメンの店とはかけはなれた、スタイリッシュなイメージだ。
そしてもちろん、最大のインパクトは前代未聞の味にある。東京の有名店「渡なべ」で修業した若き店主が創るラーメンは、遊び心と創造性に満ちあふれ、仙台のラーメン界に新しい風を吹かせている。
まずは、その看板メニュー「くろくの味噌」を食してみよう。
豚骨醤油系を彷彿させるドロッとしたスープは、なんと玄米と鶏だしのWスープ!トロトロに煮詰めた玄米の甘み、比内地鶏のコク、完全無添加の田舎風味噌の旨みが調和して濃厚ながら後味はすっきり。比内地鶏の内臓からていねいにとった力強い脂のこってり感もあり、物足りなさをまったく感じさせない。
また、ぴりりと効いたスパイスが味を引き締め、ラーメンはあれこれ食べまくってきた俺をして「おお、こんなの食べたことな~い!」と言わしめた、なかなかの逸品なのである。
化学調味料を使わず、天然素材でのラーメン作りをコンセプトに掲げる「くろく」の真骨頂といえるスープ。このこだわりのスープを生かすのは、モチモチの中太麺。こちらももちろん自家製で、材料にはパン用の強力粉を使用し、独特の食感やコシを出している。
さらに、太さにもバリエーションがあって、それぞれのスープにベストマッチの自家製麺が出番を待っている。どれを食べても完成度が高い一杯のラーメンは、こうやって生み出されている。
「くろく」では、週末限定の「店主気まぐれ週替わり限定メニュー」も食べ逃せない。「インド油そば」や「カレー汁なし」など、こちらも独創的なラーメンが食べられると評判だ。
ただし週末限定とはいえ、スープや材料がなくなると土曜日にはもう終了の場合もあるので、確実に食べたいという方は、金曜夜の来店をおすすめする。
落ち着いた雰囲気と洗練された接客が魅力のスタイリッシュな空間で、今宵は魅惑のラーメン体験を。
※2012年6月時点での情報です。