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「肥料ふりかご」。
あまり聞き慣れない名前の、このかご。宮城県の農家では長年使われてきた道具のひとつです。畑に肥料を蒔く際、持ち手を持って、振り子のように揺らしながら畑を歩くと、均一に肥料を蒔くことができます。
もともとは、それぞれの農家で手作りされていましたが、今では数人の作り手しか残っていないのだとか。
肥料ふりかごは、さまざまな素材を組み合わせて作られています。かご本体は、しなやかな篠竹に堅く丈夫な樺桜を編み込んだもの。肥料がこぼれないように、すき間なくきっちりと編まれています。かごに渡された持ち手は、適度な湾曲をつけた杉の木。皮を削っただけのシンプルなたたずまいが目を引きます。
それぞれに異なる色や素材感が一体となった、美しい姿。丈夫でありながら、やさしく包んでくれるような安心感。置いておくだけで絵になるかごって、そうたくさんはありません。
日本中の優れた民芸品を集める「光原社」で扱う肥料ふりかごは、仙台市郊外にある大和町の作り手さんによるもの。およそ20年前から販売しているというおなじみの品ですが、ここ数年はインテリア用に求める若い女性が多いのだそう。
キッチンの野菜やフルーツを入れておいたり、マガジンラックや玄関のスリッパ入れ、季節の花を生けてみたりと、使い方はさまざま。お出かけに使うなら、かごにおにぎりやおやつを詰めてピクニックも素敵ですね。
※2012年7月時点での情報です。